「も一緒に行きましょう!」 初めて目にする煌びやかな光景にぼうっと見入っていたは、腕を引かれてはっとする。 振り返ればエアリスが子供のような無邪気な表情で笑っていて、反対を向けば仕方ないと言わんばかりの表情で息をつくクラウドの姿がある。 いつの間にか他の仲間たちの姿は消えていた。 「遊んでる場合じゃねぇだろ!」と渋っていたはずのバレットの姿もない。 「行く? ……どこ?」 「うーん、一先ず何があるのかぐるっと見て回りましょう。いいわよね、クラウド?」 「……ああ」 好きしてくれと言わんばかりの投げやりな態度でクラウドは頷いた。 はどうしてクラウドがそんなに疲れ切った態度なのか首を傾げるが、エアリスに引きずられて足が縺れたことで考えている余裕がなくなる。エアリスは慌てて謝ったけれど、の腕を放すつもりも歩くつもりもないらしい。仕方なくは小走りになって、エアリスに連れられて手近なゲートを潜った。クラウドもすぐに後を追ってくる。 「私こういうところ初めて! は?」 「ん、……一緒」 「ふふっ、じゃあ折角だから楽しまないとね!」 前を行く女性二人のやり取りに、クラウドは嘆息する。 状況が状況なだけにここまで息抜きする機会がなかったからはしゃぐのはわかるが、明日にはまた旅に戻るのだ。はしゃいで羽目を外し、明日に響くことだけはないようにしてもらいたい。 「クラウド」 すると振り返ったが、エアリスに引っ張られながら彼女に掴まれているのとは反対の手をクラウドに伸ばす。また足元が危なくなるにクラウドは冷や冷やさせられた。 だが今度は気遣ったエアリスが歩調を緩め、同じようにクラウドを振り返ってくすくすと笑う。 「ほらクラウド、早くしないと置いて行くわよ?」 「――― ああ」 クラウドは早足になり、伸ばされたの手に指先を絡めた。 ぎゅっと、すぐに握り返された手に、それこそ本当に子供のように笑うに口許が綻ぶ。 はしゃぎ過ぎて羽目を外し、明日に響くことがないようにしてもらいたいと思うのは事実。 けれど今のを見たら、少しぐらいはいいかと思ってしまう己の思考に、クラウドは苦笑した。そしてそのクラウドにエアリスが苦笑するが、クラウドは気付かない。 が絡むと、普段はクールにしているクラウドは心情が態度に表れるのだ。 しかし本人にはその自覚が全くない。ティファは勿論、バレットまでもが呆れるくらいに弱いクラウドの姿は、少し言い過ぎかもしれないが滑稽であるというのに。 「エアリス……?」 「どうかしたのか?」 「……ううん、何でもない!」 ああ、違った。自覚がないのはお互い様だ。 |