死とは終焉。所謂天国や地獄と呼ばれる先などは決して存在しない『無』。
 それがの考えであり、失った記憶とは無関係に、脊髄に刻まれた絶対だった。物語や劇などでしばしば語られる「始まりは終わり、終わりは始まりを意味する」なんて言葉などは幻想なのだ。死した先には未来などない。未来なき命に始まりなどない。

 しかし、そんなの考えを、ブーゲンハーゲンは飄々とした笑いと共に否定した。

「ライフストリーム……」
「そうじゃ。即ち星を巡る精神的なエネルギーの道じゃな。朽ちた身体や意識、心、精神。そう言ったものたちは一つに混ざり合い、星を巡り、新たに生まれる命たちの祝福となる」
「輪廻、転生?」
「うむ。お嬢さんにはそう言った方が解り易いかもしれんの」

 ホーホーホウ。ブーゲンハーゲンはまた笑った。
 それがここ、コスモキャニオンに集まる多くの学者たちが研究する『星命学』なのだと。
 そして神羅カンパニーが『魔洸エネルギー』と読んでいるものこそが『生命エネルギー』――― ライフストリームである、と。

 ならばはこの星の命を脅かす彼らを、クラウドの、クラウドたちの敵だからという理由だけではなく、自らもまた仇敵としよう。
 他ならぬ彼のために。喪い、そして星へと還った彼をまた、再び喪わぬように。今度こそ護り抜こう。

 ――― 星となった、彼を守ろう。
FOE
てき
20100730